教室のあゆみ

山形大学医学部整形外科教室のあゆみ

 山形大学では1973年(昭和48年)に医学部が設置されました。 その後、1976年(昭和51年)に渡邊好博先生が新潟大学から整形外科学講座初代教授として赴任され、教室の歴史がはじまりました。
 渡邊教授は手外科を専門とし、当時すでに数多くの業績を残しておりました。 開講翌年の1977年(昭和52年)には、世界で2例目となる手の二重切断例の再接着術を本邦ではじめて成功させ、それが国内で広く知られるようになると、 切断などの外傷をはじめ手外科領域の多くの患者様が県内外から紹介されるようになりました。
 当初から診療活動は多忙を極めました。 渡邊教授は診療教育スタッフの充実をはかり、多くの人材を育てながら、基礎研究や先端医療の推進にも力を注ぎ、 変形性股関節症に対する山形大式人工股関節システムの開発と臨床応用、頚髄症に対する山形大式頸椎拡大術の考案をはじめ、 様々な分野の研究、診療も基盤を整えていきました。 自由で活発な意見交換が行えて何事にも積極的に立ち向かう活力ある教室という渡邊教授の理念に共感した大勢の医師が集まり、教室は大きく発展していきました。 開設当初3施設であった関連病院、協力施設は20年で30施設にまで増え、100名を超える整形外科医が育ち、 地域医療に大きく貢献する原動力となりました。しっかりとした教室の礎が築かれました。
 1996年(平成8年)には札幌医科大学より第二代教授として荻野利彦先生が赴任されました。 渡邊初代教授と同じく手外科を専門とし、手の先天異常の世界的な権威として活躍しました。 手外科を発展させた世界の医師100人“Ein Leben fur die Handchirurgie”にも選ばれています。 荻野教授は自由な雰囲気の中で、明るく楽しく活発な議論ができる教室の気風を踏襲しつつ、 国際水準をめざした医療技術の向上と研究活動の推進に熱心に取り組みました。 2000年(平成12年)には5th International Symposium on Congenital Differences of Upper Limbsを主催したほか、 2006年(平成18年)に日本先天異常学会、2007年(平成19年)には第50回日本手外科学会と手外科国際記念シンポジウム、 さらに2009年(平成21年)日本肩関節学会、2010年(平成22年)日本肘関節学会など、多くの学会を主催され、学術分野でも教室の発展に大きく貢献しました。
 2012年(平成24年)1月に本学出身の高木理彰先生が第三代教授に就任しました。 高木教授は股関節外科とリウマチ外科、さらに運動器リハビリテーションも専門とし、幅広く臨床と研究の第一線で活躍してきました。 変形性股関節症に対する人工股関節全置換術、再置換術、骨切り術、 さらに関節リウマチをはじめとするリウマチ性疾患の上肢、下肢の手術など多岐にわたる手術を数多く手がけています。 また人工股関節の長期成績を向上させる鍵の一つとなる人工関節の生体親和性に関する研究では、世界を代表する研究者の一人として仕事を続け、 臨床と基礎研究の両面から人工股関節の長期成績向上を目指しています。 長年にわたる国際共同研究を通して、ヘルシンキ大学をはじめ、スタンフォード大学、アデレード大学など世界各地の研究機関との交流があり、 国際的な学術活動の推進にも力をいれています。 さらに先の東日本大震災では、宮城県気仙沼市を中心とする被災地の支援活動にも率先して携わり、 とりわけ避難所における生活不活発病予防活動には教室とリハビリテーション部をあげて取り組んできました。
 現在、山形大学整形外科学教室では高木教授を中心に、脊椎・脊髄班、上肢班(手・肘・肩関節外科)、股関節班、膝関節班、腫瘍班、 リウマチ班、リハビリテーション班が、診療、医学生・研修医教育、臨床・基礎研究を精力的に行っています。 診療班毎により優れた専門性を追求しながら、診療班間の緊密な連携を保ち、患者様により質の高い医療を提供できるよう日々努力しています。